魔法少女を忘れない    絶対にやりたくないと思っていることを、泣きながらやる。

魔法少女を忘れない (スーパーダッシュ文庫)
佐々木千花というキャラクターの魅力だけで読みきったと言っても過言ではない!!……や、まぁ過言ですかね…途中まであまり好みじゃないツンデレだと思ってましたから……でも魔法少女が実際に存在する世界で〜とかの魔法少女妹関連の設定、ストーリーははあまり興味なかったかな(じゃあ何故買ったのか……?それは分からないw)


でも千花は良くてね……彼女はですね…子供の頃何の気なしにやってみた時代劇のものまねが、主人公に何故かバカ受けしてしまって、それ以来そのイメージ通りの『クールでカッコよくて、いつも頼りになる、ちょっと古風な喋り口の幼馴染』というキャラクターを演じ続けるハメになった娘なんですが……いやね、彼女としてはそのキャラを演じ続けている限り主人公が犬コロのように自分によってきてくれるわけですよ。でもそれじゃあ感情にまかせて「好き好き大好き超愛してる!」と愛の告白するわけにはいかないんです。だって「クールな頼りになる幼馴染」を演じているわけでね。そうしているうちはありのままの自分で恋人になろうとすることもできない……けれど、そうしているうちは主人公の近くで心地よい時間を過ごすことができる。。こんなのはね、正直にぶつかって貴方が好きです!!とぶちまけちゃうのが一番良い解決なんですよ。それは彼女も分かっているけれど、でもやはり怖ろしい。本当に今の関係を壊したくて変化を求めているのだけれど、今の心地よい時を壊すのが怖くて、逃げの一手で現状維持。そういうのってね……
個人的にすっごいクリティカルなんですよぉ!!
その現状維持しちゃうのってすごい解るわぁ。。もう泣けてくるほどに解る。それじゃあダメだと解っているけど、今に不都合が無いんだから良いじゃないか!!だって自分から踏み出していくのはとても怖いもの。他の誰よりも彼女に感情移入していたなぁ。。




でもだからこそ、彼女が最後に涙と鼻水にまみれながら、みっともなく震えながら、可愛さや冷静さをかなぐり捨ててお前が好きだと叫ぶその姿に、涙が出た。そういう人間になりたいなと本気で思ったなぁ……それと同じくらいなりたくないとも思うんですがね。でも彼女もああいう風には死んでもなりたくなかったはずで、その勇気が眩しくて、それだけがこの小説を読んだ後に残ったものですね。おそらく本筋とは別のところだ(笑)