ベン・トー【5】 北海道産炭火焼き秋鮭弁当285円

ベン・トー 5 北海道産炭火焼き秋鮭弁当285円 (スーパーダッシュ文庫)

そして今度は自分から本当の気持ちを伝えよう。素顔で、素直に、ありのままに……カレー風味のフライじゃなく、あの鮭のフライのようになれた時には、必ず。

ベン・トー 5   P335   

やってることは「半額弁当の争奪戦」というアホな話なのに、きっちりシリアスな話も振ってくる、それがベントー。カレーの味でごまかすような生き方ではなく、シンプルに、そのまま。素材の味で勝負。表面を取り繕ったところで、望むものは手に入らないよと。自分らしく生きる……それは良いよ、カッコいいよ。
が、しかし。
その「自分らしく」という物語の影に存在する、自分をごまかしまくって、嘘ツキまくって、自分の大切なモノさえ捨てて、無様な姿をさらす時でさえ多少でもカッコつけることをやめない、自分らしさとはむしろ対極の…いわばカレーまみれの男=ホブヤーというキャラクターが、最後まで読むと僕はもう本当にたまらないほど好きだなぁ。彼がいるおかげでこの話、厚みができたんじゃないか…?素材の味で勝負することと、カレーにまみれて生きること、その両方の力強さを描けているんだもの。
まぁホブヤーはあまり出番なくて、途中でフェードアウトしてしまったわけだけですけどね。もったいない……アサウラ先生、ここにホブヤーのファンがいますよ。再登場希望です。

半額弁当争奪戦は、1巻で不在だったダンドーという主を加えた「真・ダンドーと猟犬群」とのバトルがメインなのですが(ホブヤーは弱い)……あんまり強そうじゃないっていうか。今までの強敵に比べると、なんだか……強さがよくわからないですね。前巻のナックラヴィの方が強敵感ありましたよ。今まででもっとも強敵っぽくなかったなぁ……みんながみんな、「ダンドーと猟犬群は強い、敵わない」と言うんですけど、それもちょっと僕の中では滑り気味?え、そうなん?という感じです。まぁ途中で大猪に軽くブッ飛ばされてしまったのがダンドーの格を低くしてしまった原因ですかね。大猪っつーか、あのただの主婦の化物感は何なんでしょうね?奴等は腹の虫の加護を受けていない(ベントーでは腹の虫の加護が全て)はずなのに……力の源泉は家計の危機とか?
しかし相変わらず、、、読むたびに実写映画化して欲しいと思わざるを得ない(笑)いい感じのB級感が出てると思うんですけどねぇ。